下記アイキャッチ画像通り、ゴッドハンド製アルティメットニッパーを半年経たずのうちに折ってしまったため、戒めがてらに。

折れた理由は画像からもわかる通り板状部分を切断しようとしたこと。
なお、過去のステンレス製のカーバイドを折ったこともあるため、割と冷静に「やっちまったー」とその場で冷静になり、写真を撮る余裕はありました。
ただ、日頃から徹底して折れるパターンは回避して使用していたため、なぜ折れたのか振り返ってみたところ、マインド面の問題や制作工程に問題があったような気がしてきたので、今後同じことが自他ともに起こらないための戒めとして記事化しておきます。
アルティメットニッパーが折れた原因
まず大前提を説明しておくと、アルティメットニッパーが折れる主な原因は製品付属の説明書に記載してます。

たまに口コミで「すぐ折れた」という評判を見かけますが、おそれく説明書記載のNGな使い方をしてるだけだと思いまます。
今回の原因も、アルティメットニッパー上部記載の「下記素材には絶対に使用しないでください」記載部分の「プラ板、タグなどの板材」に使ったことが原因です。
ただ、そんなことはわかっていたものの起こってしまった理由を分析すると、下記のような要因もあったと思います。
アルティメットニッパーの快適さゆえ
通常のニッパーからアルティメットニッパーに持ち帰ると大半の人が感じるでしょうが「ヌルっと切れて快適」です。
製作外でもランナーがあれば切りたくなる…レベルに快適で依存性が高い。
なので「ランナーからの切断時は2度切りする。1回目はアルティメットニッパー以外のニッパーでランナーから切断。2度切り目はアルティメットニッパーで精密に切断」を徹底すればまず折れるような使い方は避けられます。
にも関わらず、アルティメットニッパー使用感の快適性に慣れると「ランナーやプラパーツは全部ヌルっとまっすぐ切れる」と感覚が麻痺してきます。
その感覚で板部分にも何も考えずにアルティメットニッパーを使用したことが、今回の破損の原因になったのだと思います。
このあたり、プラモデル製作のユースケースに徹底的に寄り添って製作されているゴッドハンド製の商品は、往々にして起こりがち。
たとえば、ゴッドハンド社の平筆シリーズを購入した時もあまりの塗り心地に手入れを怠ることで寿命を縮める悪い使い方を無意識のうちに行ってしまうということがありました。
良い道具というのは長時間使っても快適でストレスフリーな魅力はありますが、それは長時間作業による注意散漫を招いてダメな使い方を無意識下で誘発したり、耐久性の売り文句を過信して手入れを怠りがちになるという問題と二律背反だということです。
作業工程の問題
前述の通り、アルティメットニッパーを折らないためには、ランナーの2度切りを徹底すれば自ずと避けられます。
Youtubeでいろんなモデラーの方の動画を見ても、ほぼこの工程を採用しています。
加えて、一週間に数体のプラモデルを出してるようなYoutubeモデラーの方は「1ランナーのパーツをすべて低価格ニッパーで仮切り→ゲート部分をアルティメットニッパーで正確に切断→ランナー毎にパーツを仕分けして一時保管」と作業工程を効率化しています。
私自身、ほとんどのプラモデル製作工程において2度切り・2回目のみアルティメットニッパーの工程を徹底してきました。
では、なぜ今回は折ってしまったのか?
それはプラモデル製作外の別工程でアルティメットニッパーを使ったからです。
写真を見ればわかるように、今回は、ランナーに塗料を試し塗りして切断してノートに貼り付けて色見本を制作していました。
これは通常のプラモデル製作とは異なる工程で、太いランナー部分を切ることはともかく、板部分を切ることはまずないでしょう。
なので、いつもの製作工程の感覚で「アルティメットニッパーで切ればまっすぐ切れる」と無意識で手元でアルティメットニッパーで切ってしまった結果、取り返しのつかない結果になったというのが、今回の失敗要因だと考えられます。
要は、他のニッパーで切り離したパーツのゲート部分を切る時のみアルティメットニッパーを利用すればNGな使い方は忘れていても避けられるというわけです。
長時間での繊細な作業による集中力低下
プラモデルは極めれば極めるほど細かいことが気になり繊細な作業が多くなります。
そもそも、繊細な作業を要しなければアルティメットニッパーほどの精度も必要ないです。
とくに私は最近はウォーハンマーなどのミニチュアモデルや、レイヤーの細かい塗り作業が続いてたこともあり、プラモデル製作時に費やす集中力と披露が蓄積されてた可能性は大きいです。
なので、普段なら気づいたであろう「アルティメットニッパーで太い部分や板状部分を切ってはいけない」「ランナーを切る雑作業にアルティメットニッパーを使うべきでない」ということに頭が回らなかった…のではないかと思います。
工程不統一時も、感覚としても「一度で切断できない部分はアルティメットニッパーは使わない」と瞬間的なニッパーの取捨選択判断はできていたので、集中力低下による刹那的判断ミスもあったように思えます。
折れたアルティメットニッパーとどう向き合うか?
アルティメットニッパーは高価なこともあり折れるとそれなりにショックです。
ただ、プラモデルにしても仕事にしても、人生は失敗がつきもの。
失敗から得た教訓を次にどうつなげるかが重要です。
そこで実際に私が今回の失敗から考えたことや得た教訓も記していきたいと思います。
修理は原則不可
アルティメットニッパーですが、自分での修理はもちろん、メーカー依頼での修理は原則不可です。
例外として、ゴッドハンド直販サイトで買った場合のみ、半年以内なら保証範囲に入るみたいです。
しかし、私は量販店で買ったので修理依頼は選択肢外。
一時期の品薄の影響もあってか、ゴッドハンド公式ホームページやパッケージ内説明では「修理依頼や連絡してこないでね」という感じがひしひしと伝わってくるので、メーカーとしては今回のような雑な破損ケースは保証範囲に含めたくないのだと思います。
「必要経費=勉強代」と考える
プラモデル用の工具は、一度買えば一生使える類のものでなく「消耗品」だと言われます。
繊細な高級筆も使い方を誤ると1日目にダメにしてしまうこともあるぐらい…です。
一般的に高級品=耐久性もあると考えがちですが、プラモデル用製品に関しては0.1ミリクラスの精度と繊細さを追求した品質の製品も多いため、悪い使い方をするとすぐにダメになる…という類の道具も多いです。
アルティメットニッパーも間違いなくその類なので、勉強代だと思って「どうすれば次は壊さずに長く使えるか?」「アルティメットニッパーが苦手な作業を補える他のニッパーはどれか?」と次につなげる考え方が大事です。
そうすることで、筆なら筆用石鹸の利用を徹底したり、複数持ちで細かな利用シーンに合わせて使い分けるなど、道具利用の技術も向上してきました。
ニッパーも同様で「アルティメットニッパー一つあればすべて快適にキレイに切れる」ではなく「アルティメットニッパーはこういう時に使って、こういう時は別のニッパーを使おう」と道具の使い方も最適化されていくのだと思います。
たとえば、今回、アルティメットニッパーを折ったことで、通常版よりも耐久性の高い「アルティメットニッパー タフ」という商品もあると知りました。
折れたものでも使える場面では使う
不幸中の幸いというべきか、今回折れたアルティメットニッパーでも刃先は5ミリほど残っているので、従来通り2度切り目のゲート切断時には問題なく使用できる範囲です。
もちろん、先端の細長い部分がないので狭い部分に切断刃が届かなかったり、先端部分がないことで力のコントロールが難しい…など使用感は落ちますが、それでもアルティメットニッパー特有の「ゲートを真っすぐにキレイに切れる」という機能性は失われるわけではありません。
また、折れたことでかえって開き直ってランナーを平らに切りたい時に雑に扱うサブニッパーとして使用する選択肢も出てきます。
使用時の快適さや精密さはやや落ちますが、それでも平らにスパッと切れるアルティメットニッパーならではの強みは十分活きますので、必要以上に落胆することはないでしょう。
他の代替ニッパーも使い分ける
今回、アルティメットニッパーを折ったことで、改めて他ニッパーの選択肢も考える機会となりました。
個人的に、アルティメットニッパーの強みは2点あると考えていて、
- 平らにキレイに切断できる(上手に切れば白化なしレベル)
- スパスパ切れる快適さと使いやすさ
の2点で、前者は精密性を求める場合の強み、後者は使いやすさであったり手に馴染むかどうかに関わる強みだと考えます。
前者の強みは片刃ニッパーでないと再現が難しいものの、後者は片刃ニッパーでなくても3,000円台の価格帯のニッパーならいけるのでは?と思わなくもないです。
とくに、アルティメットニッパーの強みが活かしにくい曲線切断部分の多いキットや細かくヤスリがけすることが前提の製作工程ではアルティメットニッパーはオーバースペック気味なのでは?との気づきにもなりました。
実際問題、前者の「平らにキレイに切断できる」という強みは折れた後のアルティメットニッパーでもリカバリーが効く範囲なので、他コンセプトのニッパーを試しみるのも一考だと思います。
アルティメットニッパーの複数持ちで精神的ダメージを緩和
アルティメットニッパーを1つ折って傷ついた心は複数のアルティメットニッパーを大人買いすることで緩和可能です。
たとえば、公式キャラのニパ子刻印モデルであったり…

より繊細な使用を求められる玄人向けのライトニングニッパーであったり…

先端が長いことで直線に添わせて切りやすくなったアルティメットニッパースリムであったり…

ネタ半分で思いついたアイデアですが、他趣味と比べるとさほど出費が激しくないプラモデルならアルティメットニッパー複数買いはありよりのありな気もしてきました。
というのも、先に挙げた強みがどう考えてもニッパーに求める最上級の要件であって、となると細かな目的の違いでアルティメットニッパーシリーズを使い分けるのが最適解になりそうだったからです。
経済的に余裕ができたら、アルティメットニッパー使い分けでリッチ気分味わってみようと思います。


