Quad Cortexの音作りの幅を広げるため、IRファイルを利用する方法を調べて試してみたため、覚書き。 ▼この記事でまとめていること
  1. そもそもIRファイルとは何なのか?をざっくり理解
  2. Quad CortexにてIRファイルを使える状態にする
  3. ダウンロードしたIRファイルをQuad Cortex上で使って音作り

そもそもIRファイルとは何なのか?

IRとは「インパルスレスポンス」の略で、0.2秒~1秒程度の「パツ」という単発音が収録されているデータのことを指します。 この単発音の中に、IRを作成する際に利用したキャビネットやマイクの種類、マイクポジション、ケーブル、ルームアコースティックなどの音響特性が詰まっています。 参考URL:https://dynax-japan.com/dynax-ir/ir-impulse-response/ ちなみに、Quad Cortexのフラグシップ機能である「Neural Capture」も、このIR機能と同じ原理が利用されている模様。
Neural Captureは、Quad Cortexのフラッグシップ機能 です。独自のバイオミメティックAIを用いて構築されており、 あらゆる物理的なアンプ、キャビネット、オーバードライブ ペダルの音の特性を学習し、かつてないほどの精度で再現 することが可能です。 参照元:https://kcmusic.jp/neuraldsp/wp-content/uploads/sites/26/2021/04/Quad-Cortex-User-Manual-1_1_0JPN_v1.pdf
ざっくり言うと「実際のアンプやキャビネットの音を録音してIRファイルにしてしまえば、Quad Coretexのようなサウンドモデラーで再現可能」ということになります。 また、昨今のインターネット環境ではIRファイルを配布可能なので、IRファイルさえあれば誰でも生音を元にした音作りができるわけです。

Quad CortexにてIRファイルを使える状態にする

IRファイルの前提を理解した上で、実際にQuad CortexにIRファイルをダウンロードする方法を解説していきます。 基本的には、下記のQuad Cortexのサポートフォーラムの解説手順に従えばOKです。 参考URLhttps://support.neuraldsp.com/help/using-external-ir-files ただ、上記のURLとは少し違う手順の箇所もあったため、筆者が行った方法を再度まとめています。
  1. Cortex Cloudにログインする
  2. 右上のメニューから「My Profile」を選択
  3. 「Impulse Response」を選択
  4. 「Browse」を選択してIRファイル(Wav)をアップロード
  5. Quad Cortex本体でディレクトリ(プリセット選択ができる画面)を開き「Cloud IRs」まで移動
  6. 左上の「Download All」を選択し、Cortex CloudにアップロードしたIRファイルを一括ダウンロード
上記の手順が完了したら、Quad Cortex本体でIRファイルが使える状態となります。

ダウンロードしたIRファイルをQuad Cortex上で使って音作り

ここからは実際にQuad CortexでIRファイルを活用する方法を紹介していきます。

「IR LOARDER」を使用する方法

左メニューの「デバイスカテゴリー」から「IR LOADER」を選択します。     「IR LOADER」からデバイスモデルを選択後、コントロール上の「IMPULSE RESPONSE」より、使いたいIRファイルを選択。   この方法ではキャビネット部分に「IR LOADER」配置して、IRファイルを活用しています。 なお、元々はB’zのTak Matsumoto風サウンドを作りたくて色々と調べていたところ、あっちゃん氏のIRファイルがかなり好評で「使ってみたい!」と思ったことが、今回の記事制作のきっかけとなっています。 以下は、試しにIRファイルを使ってみたサンプル音源です。

キャビブロック内でIRファイルを使用する方法

Quad Cortexの説明書を眺めていたら、キャビネット内のマイクシミュレーション部分でもIRファイルが使えるみたいなので、その方法もご紹介します。   IRファイルの元音源で利用していたBognerモデルのキャビネット(Neural Captureにはある模様)がないので、MesaBoogieモデルの「CA」を使ってます。   ↓このプリセットで録った音源 IR LOADERで直接IRファイルを読み込んだ時よりは、音が少し遠のいた感じになるので「キャビネット+マイク録音」をよりシミュレーションできたサウンドに近づいたように聞こえます。